基線解析


ここでは、国土地理院の基準点データを用いた基線解析ソフトをアップしています。
国土地理院以外のRINEXデータは対応しておりません。

baseline.exe
initial_setting.txt

RINEXデータ例(2007年12月1日のデータ)
21103350.07o 筑波1
05843350.07o 阿見
21103350.07n NAVファイル

まず、上記の実行ファイル(baseline.exe)とinitial_setting.txtを同じ
ディレクトリに取り込み、次に国土地理院の観測点データも
同じディレクトリに取り込みます。
内容は、基準側の観測データと航法データ、移動側に相当する観測データの3つです。
次に、initial_setting.txtの中身を解析するファイル名に変更します。
そして、baseline.exeを実行します。
initial_setting.txtの中身は以下の通りです。

Mask_angle 10.0
Ref_obs 21103350.07o
Rov_obs 06273350.07o
Nav_file 21103350.07n
POSreflat 36.106114242
POSreflon 140.08719037
POSrefhgt 70.300
POSrovlat 36.103635070
POSrovlon 140.08630712
POSrovhgt 69.737
Iteration 3000
Code_noise 0.4
Carrier_noise 0.005
Reject_hdop 10.0
AR_method 1
Rinex_type 1

上から、マスク角、基準側の観測ファイル名、基準側のNavファイル名、移動側の観測ファイル名
基準側の精密位置(緯度、経度、高度)、移動側の精密位置(緯度、経度、高度)
計算回数(基本的に24時間分まわります)
擬似距離のノイズ(m)、搬送波位相のノイズ(m)、HDOPの閾値(これ以上の場合計算しない)
AR_methodは1のときLambda法、0のときWidelane法になります。
Rinex_typeは1のとき国土地理院のRINEX形式を読みこみます。
ここで、アンテナの精密位置は地理院サイトの「日々の座標値」より取得可能です。
このファイルの最終行はRinex_typeの下にくるようにお願いします。

基線解析の結果はエクセルファイルで以下の通りに出力されます。

ambiguity_info.csv lambdaのほうでは出力されません。
時刻、使用衛星数、FIXの可否、残差及び測位領域の検定を通過した候補、残差最少の候補番号、最少残差、2番目に小さい残差

comment.csv
コメントです。

dgps.csv (DGPS測位結果)
時刻、地球中心のx,y,z、経度方向ずれ、緯度方向ずれ、緯度、経度、高度、使用衛星数、使用衛星番号

final.csv (可視衛星数毎のFIX率を計算)
時刻、可視衛星数5個から13個での時系列FIX率、可視衛星数5個から13個の全回数、可視衛星数5個から13個のFIX回数

pos.csv (単独測位結果)
時刻、地球中心のx,y,z、経度方向ずれ、緯度方向ずれ、緯度、経度、高度、使用衛星数、使用衛星番号

rtk.csv (1エポックRTK測位結果)
widelaneの場合:時刻、地球中心のx,y,z、経度方向ずれ、緯度方向ずれ、緯度、経度、高度、HDOP,VDOP(全衛星)、HDOP,VDOP(主衛星)、使用衛星数、FIXの可否

lambdaの場合:時刻、地球中心のx,y,z、経度方向ずれ、緯度方向ずれ、緯度、経度、高度、FIXの可否、最少残差、2番目に小さい残差、使用衛星数

test.csv
出力されません。


注意点
1)Widelane解のノイズは数cmあります。一方、Lambda解のほうはL1のFIX解ですので1cm以内です。
2)なお、Widelane解からL1解を求める時のFIX率は、ほぼ100%であることを確認しています。
3)FIXの可否はアンテナ水平で20cm程度内(Lambda法では10cm以内)に入ったかどうかで判断しています。
4)1エポックの観測値のみを用いていますので、検定後に残差最少のものを解としてだしています。
5)コマンドライン上には、時刻、計算回数、基準側衛星数、移動側衛星数、時系列のFIX率が出力されます。
6)final.csvを見ればわかりますが、Widelane法では可視衛星数が少ない時のFIX率は低いです。
7)Lambda法は短基線、高品質のデータであれば、FX率が非常に高いことがわかります。
8)Lambda法とWidelane法での残差の定義は異なります。Widelane法では、従衛星による検定を行っています。
9)いずれの解法でも5個以上の可視衛星の場合に計算しています。
10)国土地理院データでは、ほぼ100%の時間帯で可視衛星が5個以上になります。
11)すべての計算においてL1とL2のデータがあるかどうかをチェックしています。L1のみある場合は使用衛星としてカウントされません。
12)バグ(L1のFIX解が少しずれる等)がありますので、時間があれば修正します。
13)単独やDGPS等の計算はすべて移動側でなされています。

14)全体のFIX率の解析結果例は以下の通りです。
カッコ内はマスク角を15度にした場合。その他は10度。

筑波1->筑波3(基線長300m程度)   筑波1->阿見(基線長13.3km程度)
(それぞれwidelane/lambda)
07年4月1日   96.0/99.9   92.9(88.6)/82.3(95.4)
07年5月1日   97.0/99.9   92.8(88.1)/73.9(87.4)
07年6月1日   96.6/100   93.2(88.9)/70.7(85.0)
07年7月1日   96.9/99.7   91.9(90.1)/73.2(88.9)
07年8月1日   96.6/99.6   89.8(88.3)/69.4(81.9)
07年9月1日   95.6/99.9   90.3(87.5)/74.8(92.7)
07年10月1日   96.5/99.9   94.5(91.0)/81.5(97.5)
07年11月1日   96.7/99.8   92.8(89.2)/79.9(96.7)
07年12月1日   97.1/99.9   93.0(90.4)/83.1(98.0)
08年1月1日   96.4/99.9   92.0(91.0)/85.1(98.3)
08年2月1日   96.3/100   91.4(90.4)/84.5(98.2)
08年3月1日   97.3/99.9   94.2(93.6)/83.1(99.3)

超短基線では、Lambda法が非常に良く、10kmを超えると
やはり低仰角の衛星による各種バイアスの影響がでている。
バイアスに対して非常にsensitiveであるように見えます。
Widelane法は、基線長を300mから13.3kmにした場合でも大きな変化はみられない。
基本的には、可視衛星の数に大きく依存。
Lambda法とWidelane法ではアンビギュイティ解法の部分のみに違いがあります。
それ以外(単独測位やDGPS)は同じルーチンです。

コメント等は久保までよろしくお願いいたします。
nkubo@kaiyodai.ac.jp
東京海洋大学 海洋工学部 久保信明
2008/5/20